被災地支援活動報告第6回
被災地支援イベント
—自然災害科学実験教室&ホタテキャンドル教室—
2013年7月14日、IRTジャパンでは、財団法人東京YMCAの全面協力のもとに東京都江東区のグランチャ東雲(江東区の児童高齢者およびのための複合施設で、公益財団法人東京YMCAが指定管理者として運営を全面的に委託されています)にて、「自然災害科学実験教室&ホタテキャンドル教室」という被災地支援イベントを開催いたしました。
ホタテキャンドル教室は昨年度に続いて2度目の開催ですが、震災から2年経った今でも被災地の復興がなかなか進んでいない現状の中、人々の震災や復興への関心が薄れしまわないように願って、東京YMCAさんと相談の結果昨年大好評だったこのイベントを今年も開催することといたしました。
そして今年も講師として南三陸町から、ホタテキャンドル工房代表の三浦弘子さんとそのお孫さん達をお招きしました。 また、今年はキャンドル教室に加えて「自然災害科学実験教室」を併せて開催しました。これは、南海トラフや首都直下型の地震が心配される今、災害の正しい知識を学んで防災の意識を高めていただきたいという趣旨のもと、独立行政法人防災科学技術研究所から納口恭明先生をお招きして、地震などの自然災害について実験を交えて分かりやすく楽しく解説していただきました。
連日の猛暑の中、今年も昨年度と同じくちびっ子からシニアまで合計約60人の方々が参加して下さり、実験教室では次から次へと飛び出す多彩な実験に、驚いたり笑ったり感心したりとおおいに楽しみ、キャンドル教室では子供だけでなく大人も目を輝かせてオリジナルのキャンドル作りに夢中になっていました。
自然災害科学実験教室
登場したのはナダレンジャーこと納口恭明先生。ナダレンジャーといっても正義の味方のナダ・レンジャーではなくて、ナダレ・ンジャー?とのこと。先生のご専門がナダレであることからこの名前がついたようです。見た目はちょっと???ですが、お話と実験はなかなかどうして、素晴らしい内容でした。
2011年の大震災の時にはグランチャ東雲でも液状化の現象が見られたそうですが、その液状化の原理をペットボトルと砂と水とスーパーボールを使って手軽に分かりやすく解説してくださいました。子ども達も実際に自分の手で液状化を作り出してみて納得の様子でした。
また、地震の時のビルの揺れ方については、高さの違うスポンジをビルに見立てて小刻みな揺れと大きな揺れとでどの様にビルが揺れるのかを見せてくださいました。
最後は天井まで積み上げた発泡スチロールのブロックがどの揺れ方でどの時点で崩れるかを実際に実験し、ブロックは見事にグランチャ東雲の担当スタッフ・菅野さんの頭上に崩れ落ちて拍手喝采でした。
こうして1時間はあっという間に終了しました。
理科の授業ともとうの昔に縁が切れ、日頃科学の実験というジャンルには全く縁のない私達大人には、とても素晴らしい実りある時間でした。
大喜びしてはしゃいでいた子ども達にとっても、きっと今日色々体験して学んだことで、これまで怖いだけだった地震が少しだけ怖くなくなってくれたのではないかと思います。
納口先生はこの独特のコスチュームというか扮装で実験の講師をいつも務められているそうですが、それにはちゃんと理由があって、こうしたインパクトのある見た目で話したことは、普通の格好で普通に話したことよりずっと印象に残って忘れないのだそうです。子ども達に今日のお話と実験の内容を覚えていてもらうための納口先生の思いやりと工夫の賜物だったわけです。
ホタテキャンドル教室
震災からの一日も早い復興の願いを込めて、今年も受付でタテキャンドルのチラシと、IRTジャパンが製作した「震災にキルショット!」のプラバッジを配布しました。三浦さんのいる南三陸町ではまだまだ多くの人々が不便な仮設住宅での暮らしを強いられています。今回上京予定だった高校生のお孫さんが学校の行事の都合で来られなくなったため、代わりに三浦さんの一番下の娘さん優美子さんと5歳のお孫さん沙和ちゃんがお手伝いに来てくれました。優美子さん達も家を流されていまだ仮設住宅に暮らしています。
三浦さんのご挨拶とお話が終わると、お待ちかねのホタテキャンドル作りがスタートです。
三浦さんが説明してくれた順序にしたがって、パーツ選び、ロウ付け、飾り、仕上げと進んでいきますが、何といってもパーツ選びが一番の盛り上がりで、どれにしようかと皆さんあちこちうろうろしながらパーツを選んでいました。そしてキャンドルの完成です。今年もあちこちで出来立てのキャンドルを手にした飛び切りの笑顔が見られました。
なお、今年もグランチャの館長、沖さん(左端)は、今日来られないメンバーの方からお願いされたキャンドル作りと、お手伝いとでまたまた大忙しの1日でした。
そして、参加者の方から嬉しいご報告が。
昨年親子で参加してくださった方から、昨年作ったホタテキャンドルを学校のコンクールに出品して、賞を頂いたとのこと。しかも復興の灯りと題した作文まで書いて下さっていて、三浦さんも自分が話したことをちゃんと理解してきちんと伝えてくれていると大感激でした。
作文とホタテキャンドルを手に記念撮影
左から三浦さんと沖館長
小学3年生の相川さんとお母さん
最後はいつものように出会いの思い出と1日も早い復興への祈りを込めて一人一人が鶴を折り、三浦さんが準備して下さった袋に自分のキャンドルを鶴と一緒にパッキングして教室を終了しました。少しでも多くの人々にホタテキャンドルのことを知って頂けて、震災について今一度思いを新たにして頂く事ができたと思うと、開催してよかったと心から思います。
納口先生、三浦さん、優美子さんと沙和ちゃん、澄花ちゃん、グランチャ東雲の皆様、IRTジャパンの関係者の皆様、そしてイベントにご参加下さったすべての皆様に心からお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
番外編
最後の日は夕方の新幹線まで時間があったので、箱石代表と廣林理事も一緒にお孫さん達を浅草の花やしきを中心にささやかな観光に案内しました。
写真は最後に箱石・廣林・山内の3人で東京駅まで皆さんをお送りした時のものです。左から、甘えているのが5歳の沙和ちゃん、三浦さん、去年も来てくれた中学2年生の澄花ちゃん、優美子さん、そしてピースの箱石代表です。
(レポート:山内 香里)
イベント名 | 被災地支援イベント「自然災害科学実験教室」&「ホタテキャンドル教室」のイベント開催 |
日時 | 2013年7月14日(日) |
内容 | 第1部 自然災害科学実験教室&ホタテキャンドル教室 第2部 自然災害科学実験教室&ホタテキャンドル親子教室 |
協力 | このイベントはグランチャ東雲(江東区の高齢者および児童のための施設で、財団法人YMCAがその管理・運営をまかされています)の全面協力により、共催として開催されました。ホタテキャンドル46個分の材料費の合計金額46,000円は、全額三浦さん達への義援金として直接お渡しいたしました。また、防災科学研究所へ寄付金として30,000円、三浦さんへは講師料として30,000円をお渡ししました。 |
※経費明細は、下記PDFをご覧ください。